障害福祉の法人設立と事業目的|指定でつまずかない|4-LeafClover
障害福祉サービスの法人設立と事業目的
障害福祉サービスを始めるには、まず法人が必要です。個人では指定を受けられないため、法人という「土俵」に上がるところが出発点になります。このページは、どのサービスで開業する場合にも共通する、法人設立と定款まわりの勘どころをまとめた一本です。生活介護でも、自立訓練でも、就労継続支援でも、児童のサービスでも、まずここを押さえておくと、後の指定申請がぐっとスムーズになります。
まず押さえる ― 定款の「事業目的」に障害福祉が入っているか
法人には、定款という基本ルールがあり、その中に「事業目的」を定めます。指定申請では、この事業目的の欄に、これから行う障害福祉サービスがきちんと書かれているかが確認されます。ここに該当する事業が入っていなければ、指定申請の前に定款を変更し、変更登記をしておく必要があります。
専門家にとっては当たり前の確認ですが、これから開業する事業者の方にとっては、見落としやすいポイントです。とくに、既にある法人で新しく福祉事業を始めようとする場合、「今の定款のままで大丈夫だろうか」という視点が抜けがちです。まずはご自身の定款の事業目的を、一度確かめてみてください。
【要注意】事業譲渡であっても新規開設と基本は同じ
ここは、とくに誤解の多いところです。既存の事業所を引き継ぐとき——たとえば事業譲渡やM&Aのような形で——「運営する会社の名義を変えれば、それでビジネスを引き継げる」と思われることがあります。ビジネス一般の感覚では、事業譲渡は資産や権利を移せば完了する、というイメージがあるからです。けれど、障害福祉サービスの指定は、その感覚では引き継げません。
障害福祉サービスの指定は、運営する法人と事業所が一体のものとして与えられています。そのため、運営する法人そのものが変わる場合は、原則として新規の指定手続きが必要になります。単なる変更届では済みません。一方で、同じ法人のまま会社名だけが変わるような場合は、法人としての同一性・一体性が保たれているため、変更の届出で対応できます。
「変更」と「新規」の分かれ目
- 運営法人が別の法人に替わる → 原則、新規指定(変更ではない)
- 同じ法人のまま商号(会社名)が変わる → 同一性が保たれるので変更届。
M&Aや事業譲渡の知識がある方ほど、「移せば済む」と捉えやすいので注意が必要です。
この一体性の考え方は、指定制度の根っこにあるものです。誰が責任を持ってその事業所を運営するのか、そこが変わるなら、あらためて指定を受け直す、というのが原則だと理解しておくと、引き継ぎの計画が立てやすくなります。
【要注意】児童系をやるなら、児童福祉法の定義も要る
もう一つ、定款の事業目的で見落とされやすい落とし穴があります。障害福祉サービスの多くは障害者総合支援法に基づきますが、児童発達支援や放課後等デイサービスといった児童系のサービスは、児童福祉法に基づくものです。 そのため、定款の事業目的に障害者総合支援法に関する記載しかないと、児童系のサービスは始められません。子どものサービスも視野に入れているなら、児童福祉法に基づくサービスである旨も、事業目的にきちんと載せておく必要があります。将来、大人向けから子ども向けへ、あるいはその逆へと展開する可能性が少しでもあるなら、最初の定款づくりの段階で意識しておきたいところです。内容については、商業登記の専門家である司法書士か、障害福祉施設の立ち上げ支援をしている行政書士にまずは相談しましょう。
法人形態、選ぶときの勘どころ
法人といっても、株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人など、いくつかの形があります。詳しい比較は別の記事に譲りますが、選ぶときの考え方のエッセンスだけ、ここでお伝えします。
営利法人で始めるなら、株式会社であることに強いこだわりがなければ、管理のしやすさから合同会社をおすすめすることが多いです。設立や運営の手間が比較的軽く、身の丈に合わせやすいためです。一方でNPO法人は、毎年の事業報告が求められるといった運営上のコストがある反面、社会的な信用を得やすいという面があります。 どちらが正解ということではなく、メリットとデメリットの両面を見て、自分の事業に合うものを選ぶ——それが法人形態選びの勘どころです。詳しい比較は、法人形態を扱った記事をご覧ください。
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東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解
定款の作成そのものは、行政書士にもできます。それでも私は、商業登記まで見据えて、最初から登記のできる司法書士におつなぎすることが多いです。そのほうが、お客様のトータルのコストもリスクも小さくなることがあるからです。目先の価格の安さで「定款だけ安く作る」ことが、必ずしもお客様のためになるとは限りません。役員変更など、会社は設立してからも手続きが続きます。だからこそ、生業のスタートで、登記は司法書士、労務は社会保険労務士と、信頼できる専門家それぞれにおつなぎする。そうやって土台を固めることが、結果として、いちばん強くて安定した会社になると考えています。
