公募要領を読み解いて、不正受給を防ぐ!IT導入補助金の申請ポイント
こんにちは、クローバーです。
IT導入補助金を申請しようとしているあなた。不正受給なんて、自分には関係ないと思っていませんか? 実は、ちょっとした認識不足や確認漏れが、意図せず「不正」とみなされるケースが少なくないのです。
今日は、IT導入補助金を例にとり、不正受給の防止のための確認事項について解説をお届けします。補助金を正しく申請、活用できるための情報としてご活用ください。
目次
IT導入補助金とは
まずは、前提となる、IT導入補助金について簡単にご紹介します。
中小企業・小規模事業者の業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的に、ITツール(会計ソフト、受発注システムなど)の導入を支援するための補助金です。特徴としては次の2つがあげられます。
- 対象となるITツールやIT導入支援事業者は事前に決まっており、その中からツールを選ぶこと。
- 申請は「IT導入支援事業者」と申請者が協力して申請をする必要がある。
(ITツール・IT導入支援事業者検索ページ)https://it-shien.smrj.go.jp/search/

※その他、補助金額(補助率)などの概要は、解説記事「東京都の創業時に活用できる補助金・助成金まとめ|申請方法・対象者・助成額」に記載しました。ご参照ください。
不正受給を防ぐためのチェックポイント
公募要領と交付規程を確認する
公募要領と交付規程(補助金の正式ルールを定めた文書)を開き、確認する必要があります。公募要領・交付規程を読み解くのは少し面倒です。今回は、それに慣れていただくために、不正事項に関してどのような読み方をするのか少し解説します。また、事例として、通常枠を取り上げて説明します。
IT導入補助金 資料ダウンロードページ(交付規程・公募要領)
公募要領・交付規程の正しい読み解き方
公募要領については、「留意事項」といったタイトルについて、受給できないと判断する基準や例、不正受給とみなされる事例が書かれています。
交付規程においては、「(交付決定の」取消し」、「返還」といった用語でキーワード検索すると該当の文章を見つけることができます。
今回事例として挙げているIT導入補助金の不正に関する事項について記載されている箇所を、以下の通り列挙します。
<公募要領における不正に関する事項>
(引用:IT導入補助金 通常枠 公募要領p.28~p.30 一部抜粋し要約)
- 申請した書類(申請書や添付書類)に疑いがある場合、審査など事務局からの要請に応じない場合。
- 交付が決定された後に、申請した内容に変更がある場合は即報告が必要。IT導入支援事業者と情報共有し、事務局へ報告する。また、変更の内容によって、交付の取消、補助金の返還などが行われる場合がある。
- 事務局が、不正行為や情報の漏洩があると疑った場合や、補助金を受ける事業者として不適切であると判断した場合。その他、他の補助金等で同様の行為等をした場合。
- 申請者が登録する基本情報(企業情報、連絡先、担当情報)は申請者が管理しなければならないが、第三者が管理していると疑われる場合(=申請を第三者に委ねてしまった場合が該当。申請は申請者である事業者自ら行う必要がある。が、第三者がなりすましで申請や情報を管理していると疑われたときは、補助金の交付が取消される場合がある)
また、不正な支援をしたとして事務局に判断されたIT支援事業者から補助金を申請した場合も、交付取消・補助金返還などの措置を受ける。- 申請の対象として導入するITツールの負担額を減額又は、無償とするような方法で導入した場合。キャッシュバックやポイント、クーポン、第三者から導入資金が還流される場合など、減額や無償となる形式やタイミングは問わず、実質的に費用が還元されるとみなされる場合は、交付取り消しや返金、その他措置を講じることとなる。
- 申請の対象として導入するITツールの負担額を減額又は、無償とするような方法で導入した場合。キャッシュバックやポイント、クーポン、第三者から導入資金が還流される場合など、減額や無償となる形式やタイミングは問わず、実質的に費用が還元されるとみなされる場合は、交付取り消しや返金、その他措置を講じることとなる。
- 導入したソフトを、有料・無料問わず、第三者に提供・利用されてはならない。
<交付規程における不正に関する事項>
(引用:IT導入補助金 通常枠 交付規程第27条 一部要約)
(交付決定の取消し) 第27条
事務局は、補助事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第16条第1項の規定 に基づく交付決定の全部又は一部を取り消すことができる。
- 交付決定時に申請の不備や条件を付けて交付決定したときに、事務局が指定する日までにその条件をクリアできなかった場合や、申請の不備を訂正しなかった場合
- 補助の交付決定後の補助事業実施期間が遅延する報告をした後、事務局が遅延を認めた日までに事務局の指示に従った資料等の提出をしなかった場合
- 事務局が指定した日までに、正当な理由無く実績報告をしな かった場合
- 実績報告提出後、事務局が指定する期日までに不備に対する訂正を完了しなかった場合
- 補助金の額の確定の際、事務局が指定する日までに、事務局へ請求の意思を示さなかった場合
- IT導入支援事業者の登録やITツールの登録が取り消された場合
- その他この補助金の交付規程の措置や事務局の指示、事務局が定める事項に違反した場合
- 虚偽申請等不正事由がある場合
- 交付決定の内容又は目的に反して補助金を使用した場合
- 補助金の対象となるITツールを、理由問わず、導入日から一年未満で補助事業者が利用しなくなった場合又は実績報告で提出された利用期間未満で事業者が利用しなくなった場合(事業者の責めに帰することのできない場合を除く。)
- 事務局の承認を受けず補助金の対象とした事業を廃止した場合
- 補助金の対象となる事業を遂行する見込みがなくなった場合
- 補助金の対象となる事業が事業実施期間内に終了しなかった場合
- 補助事業者同士の合併等により一つの事業者が二重に補助金を受給しているような状態が起きた場合
- 交付決定後生じた事情の変更等により、補助金の対象となる事業の全部又は一部を継続する必要がなくなった場合
- その他、補助金の交付の目的に反する事由が生じた場合
IT導入支援事業者の信頼性を確認する
IT導入支援事業者についても注意が必要です。
不正な事業者と提携して申請した場合、あなたの申請も取り消されてしまうおそれがあります。 IT導入補助金、IT導入支援事業者と協力し一緒に申請することが他の補助金にはない特有の仕組みです。しかし、前述の不正に関する事項に記載のある通り、その協力者であるIT導入支援事業者が不正をした場合も補助金の交付取消・返還義務が発生してしまいます。もし、申請のルールを守って適切に行っていても、疑われてしまうという不利益に遭遇してしまうので、利用する事業所が不正を行っている事業所と関係があるのか、電話やDMで勧誘してきた事業所が適切なIT導入支援事業所なのか登録を確認しましょう。
【IT 導入支援事業者の登録取消について】2025/9/30現在
2025年度 IT 導入支援事業者の登録取消について
2023年7月31日以前 IT導入支援事業者の登録取消について
【IT導入支援事業者検索ページ】https://it-shien.smrj.go.jp/search/
その他、返還義務が発生しやすいケース(不正ではない事項)を確認する
公募要領・交付規程から返還義務について探し出す簡単な方法は、キーワード検索です。「返還」をキーワードとして利用すると、どんな条件で返還義務が生じるのか探し出しやすくなります。
今回のIT導入補助金の通常枠における、返還義務が発生する可能性がある事項は次の項目です。
- 賃上げ特例の目標が未達の場合
- 立ち入り調査に協力しない場合
- 通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠に複数申請し、経費の二重計上など不適切・不正行為が疑われる場合
- 交付決定後、ITツールを解約・利用停止した場合
- ITツールを実際導入していない、申請書と異なる導入をしていることが発覚した場合
- 廃業、事業譲渡、吸収合併などの事情により、補助金の対象とした事業を取りやめた場合
不正受給の条件に該当してしまったら
主に、不正受給に関しては以下の3つのペナルティがあります。
詳細は、交付規程の補助金の返還に関する記述の前後をご確認ください。その他、補助金の不正に関するペナルティは、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に罰則規定もあります。この法律には、罰金、拘禁刑などの刑事罰に関する規定もあります。
- 補助金の返還義務+加算金・延滞金
- 事務局が指定した返還期限までに補助金を返還
- 補助金を受け取った日から返還する日までの期間に年利10.95%を掛けた加算金を加える
- もし、指定された日までに補助金を返還しない場合は、延滞金をして、返還期限の翌日から納付の日までの日数に年利10.95%を掛けた延滞金を納めなければならない
- ほかの補助金の制限
不正とみなされた場合、IT導入補助金以外の補助金も受けられなくなります。 - 刑事罰の可能性
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」には、次のような刑事罰の規程があり、悪質の場合は刑事罰も受けるかもしれません。
(第二十九条)
偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
不正に問われないために事業者が今すぐできること
- 嘘をつかない
虚偽の申請は最もリスクが高い不正行為です - 内容を人任せにしない
委託せず、事業者自身で責任を持つ - ツール選定は慎重に
形だけでなく、本当に必要なものを選ぶ - 適切なIT導入支援事業者を選ぶ
第三者による不正リスクを排除する - 提出した内容と変更があったら、直ちに報告する
変更=不正ではないので、誠実な対応の1つとして心がける - 事業計画を確実に実行する
補助を受けたからには、目的に従って有言実行に努める。 - 事業実績報告、事業実施効果報告は期限厳守!内容も適切に書く。
補助金を受領した義務なので、真摯に報告書を提出する
最後に
補助金は事業を推進・経営基盤の強化にとても役立つ手段ですが、目的や手段を理解しないで安易に受け取ってしまうと、その後のおおきなしっぺ返しとしてペナルティをうける事態となるかもしれません。「なんとなく申請」が思わぬリスクを招く前に、公募要領と規程に一度しっかり目を通してみてください。
補助金を正しく活用することが、あなたのビジネスを大きく前進させる第一歩になります。 制度を活用する第一歩を踏み出しましょう!
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