統計で読み解く“いまどきの開業者”像|起業に向けた現実と理想の交差点

はじめに:開業者像をデータで描く理由

こんにちは、クローバーです。
今回は、中小企業庁や日本政策金融公庫などが公開している最新の統計資料をもとに、いまどきの開業者像を紐解いていきます。
「起業してみたい」「自分らしい働き方をしたい」と感じているあなたにとって、現実はどんな表情をしているのでしょうか?
理想のストーリーを描くには、まず現実を知ることが第一歩。統計という鏡を通して、開業者のリアルな姿を一緒にのぞいてみましょう。

開業率と開業者の満足度

2024年度の中小企業庁白書によると、開業率は3.9%と低水準ながら、開業者の満足度は74.9%と高く、多くの人が「やってよかった」と感じていることがわかります。

将来のライフプランや事業などのビジネスプランを検討するなど、様々な検討を重ねたうえで、起業に取り組んだからこそ、悔いの残らないよう多大な努力をしているからこそ、起業に満足感を得ている方が多いのかもしれませんね。

2024年中小企業白書 開廃業率
中小企業庁白書 2024年 第1部 第3章 第5節 企業の規模間移動と開廃業https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_5.html

年齢・性別・経験値

平均年齢は43.6歳。40代が最多層で、経験を活かした開業が主流

日本政策金融公庫の調査によると、社会経験や業種経験を積んだうえで開業するケースが主流となっています。
一方で、29歳以下における起業への関心度も高くなっています。

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」開業時の年齢と平均年齢
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

これには、後述における起業の動機が大きく関連しているものと予想されます。具体的には、収入を増やしたいことや、自由に仕事をしたいというのが主な起業動機ですが、経験が浅いために収入が低い若年層や、経験を積み自主的に仕事をコントロールしたい中年層が起業に関心を持ちやすいのかもしれません。

女性比率は25.5%と過去最高を記録し、女性の起業が着実に増加

女性の起業も確実に広がりを見せています。女性比率は2024年に25.5%と過去最高を記録しました。育児・介護などのライフステージに合わせて柔軟に働き方を再設計できる「起業」が、女性にとって一つの選択肢として浸透してきていることがわかります。

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」開業者の性別
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

ほとんどの開業者が実務経験を持っている

「勤務経験」のある割合は97.9%、起業と関連した業種の経験割合は83.1%と、ほとんどの開業者が実務経験を持っています。
ほとんどの開業者が、実務経験に裏打ちされたスキルや知識をもとに、自身のビジネスを立ち上げています。逆にいえば、未経験・未準備のまま飛び込むのはリスクが大きいと考えて行動していると言えます。

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」開業者の勤務キャリア
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

目的意識と価値観の傾向

最も多い開業動機は「自由に仕事がしたい」

  • 「なぜ開業したのか?」
    この問いの答えとして、日本政策金融公庫の統計調査で最も多かったのが、「自由に仕事がしたい」。会社に縛られず、自分の裁量で時間や働き方を決めたいという思いは、世代を超えて共通しているようです。
日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」開業の動機
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

また、2023年度の中小企業庁白書における、年代別の起業同期をみると、若年層に多いのは「高所得を得たい」という経済的動機。一方で、40歳代より高い年代の層では、「高い所得を得るため」と回答する割合は低く、地域の雇用維持・拡大、地域社会が抱える課題解決、地域の産業発展への貢献、地域社会に目を向けた回答割合が高いことが分かります。

こうした目的意識は、ビジネスモデルや組織の運営方針にも影響します。収益重視のスタイルか、地域密着型の継続重視か。あなた自身の価値観と照らし合わせながら、開業プランの方向性を確認してみましょう。

中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業 起業目的
中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html

資金調達と制度活用の実態

開業に必要な資金はどこから?

日本政策金融公庫の統計によると、開業時の資金調達額は平均1,197万円で、うち、開業資金の780万円(調達額の65.2%)は金融機関からの借り入れとなっています。
中でも、日本政策金融公庫による「創業前融資」は、2023年度には17,724件(前年比111.6%)と3年連続で増加しています。そのため、多くの人が活用していることが伺えます。(日本政策金融公庫令和5年度 創業融資実績

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」資金調達額
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

こうした公的融資制度は、金利や返済期間の柔軟さに加え、起業前でも申請が可能なことが特徴です。制度理解を深めることで、資金計画における不安を軽減し、開業の実現可能性を高めることができます。そのため、開業前には広く資金調達方法についても情報を集めて検討することをお勧めします。

また、一方で、起業関心層が考える失敗時のリスクとして、その8割が「借金や個人保証を抱えること」を懸念するとの結果が出ており、経営者保証を求める融資慣行が起業意欲の阻害要因となっている可能性があります。そのため、融資ではなく、自己資金にて小さく事業を始めるなど、事業の始め方にも柔軟な視点をもちながら検討することが重要です。

中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業 起業関心層が考える失敗時のリスク

中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html

開業時に苦労したことの実態

開業時に苦労したこととは

開業時に苦労したことのトップ3は、「資金繰り、資金調達」(59.2%)、「顧客・販路の開拓」(48.1%)、「財務・税務・法務に関する知識の不足」(36.7%)となっています。
また、現在苦労していることのトップ2は、「顧客・販路の開拓」(47.7%)や「資金繰り、資金調達」(37.0%)となっており、資金繰りや販路開拓は常に付きまとう課題であることが明らかとなっています。

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」苦労したこと
日本政策金融公庫 「2024年度新規開業実態調査」https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

さらに、苦労を乗り越える上で相談相手の存在は重要だと考えられます。
中小企業白書にて、起業に踏み切れた理由として、相談できる支援者がいたことが、どの年代層においても最も高い理由となっており、起業によって生ずる知識やノウハウ不足、資金調達の工夫などは、相談できる人の存在によって解決が大きく左右されることが読み取れます。よって、相談できる支援機関を調べ活用するのが、まず第一にとるべき行動となるでしょう。
それに加え、前職で培った人脈も含め、プライベートでかかわった人も、あなたにおける「人財」となりうるでしょう。そのため、これまでの付き合い方に固執せず、今後、人とどう付き合うのかも起業を考える上で再考してみるのもよいかもしれません。

中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業 起業に踏み切れた理由
中小企業白書 2023年版 第2部 第2章 第2節 起業・創業 起業に踏み切れた理由https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html

まとめ:自分はどの層に近い?統計から見える立ち位置

開業者像を把握する上で、統計データは非常に有効なツールです。
数字と向き合うことで、自分自身の立ち位置を見つけるヒントになります。

今、あなたが思い描いている起業ストーリーがどの層に近く、何が足りていて、何を補うべきなのか。データに基づく視点を取り入れて、自分だけのビジネスプランに磨きをかけてみませんか?

小さな一歩でも、立ち止まって考えたその瞬間から、あなたの起業ストーリーは動き始めています。
次回は「事業計画書」についても一緒に探っていきましょう。

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