【令和8年度法改正】就労継続支援B型はどう変わる?生き残る経営戦略を解説

就労継続支援B型事業所を運営する皆様にとって、令和8年度(2026年度)の報酬改定は、過去最大級の「選別」の場となることが予想されます。

国は増えすぎた事業所数に対し、基本報酬の引き下げという「調整弁」を使い、障害者の社会的参加へと繋がる役割を果たせていない事業所の整理に乗り出しています。本記事では、「基本報酬引き下げの現実」から読み取れる就労継続支援B型の意義と、その中で勝ち残るためのロジックを解説します。

就労継続支援B型は「調整弁」のフェーズへ:R8年改定の真意

現在、就労継続支援B型事業所は全国で激増し、福祉予算を圧迫しています。国が打ち出す「社会的役割の再定義」の本音は、「ただ通わせるだけの施設(居場所型)」といった従来からの役割の変化を求め始めたメッセージだと受け取れるでしょう。

令和8年度、基本報酬引き下げにおける「真の狙い」

令和8年度の基本報酬の見直しにおいては、平均工賃月額が国の想定以上に増加したことを受け、基準額の引き上げ幅を大幅に縮小しました。それは、つまり、「何もしなくてももらえる基本報酬」による大幅な増収の方策を打ちにくくなった、という国からの厳しいメッセージです。

平均工賃に応じた「基本報酬」の変動:低工賃事業所への厳しい査定

また、国は「工賃が低い=支援の質が低い」という極めてシンプルなロジックをさらに強化しています。

基本報酬の実質的引き下げ

令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所については、従前の報酬区分を適用されることとなりました。今回の見直しにより区分が下がる事業所について、基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう、中間的な区分を新設することとしておりますが、平均工賃の上昇の仕組みの構築、かつ実績を上げていなければ、実質的な「基本報酬の引き下げ」となります。また、この事は、「預かりのみ」の運営を赤字・閉鎖に追い込む狙いがあるとも読み取れます。

いま、最もやるべき事、それは経営体力測定

事務担当者は、「基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう」改定をしているため、今の工賃実績のまま基本報酬が3%カットされた場合の収支をシミュレーションしておく必要があります。

 「就労選択支援」の存在を意識した経営戦略とは?

令和7年度から開始した就労選択支援サービスの開始により、就労継続B型の役割は変化しています。

「就労選択支援」による影響

令和8年度以降、B型を利用し続けるためには、ここの利用者の意思や能力をもとに、就労選択支援B型事業所とは別機関である「就労選択支援」によってアセスメント受けることが制度化されました。これによって起きた影響は以下の通りです。

ロジックの転換(囲い込みの禁止)

これまで事業所内で完結していた「囲い込み」ができなくなりました。アセスメントの結果、「就労移行や一般就労、就労継続支援A型への移行が適切」と判断された場合、利用者を報酬欲しさに留めおくことはできなくなることを意味しています。よって、無理に利用者を留めておくことは、基準違反やコンプライアンスリスクを抱えることになります。

マーケティング視点の逆転

「送り出さない(定員を埋める)」戦略は、今後「紹介が来ない」リスクに直結します。利用者の意思や状況を第一にかつアセスメント結果に基づき、適切に次のステップへ繋いでくれる「風通しの良い事業所」となることに主眼を置いた運営、広報を実施していきましょう。それによって、利用者の満足度や利用者の人生を第一に考える事業所という認知・評判が広まり、地域に必要な施設として存続が可能となることが考えられます。

令和8年度の生き残り戦略:福祉から「社会的企業」へのリブランディング

基本報酬が削られる中、経営者が次に着目すべきは、生産活動を「地域社会との接点」として再定義することです。

企業連携と地域貢献による社会的連携という関係性の財産構築

工賃を上げるための施策を、単なる「作業」ではなく障害者の個性や資質を発揮する「ビジネス」として捉え直し、他社や地域、行政との関係性構築・強化に取り組みましょう。

企業のアウトソーシング需要の開拓

単純な軽作業だけでなく、地域の企業が「人手不足」で困っている業務(清掃、メンテナンス、デジタル化の補助など)をB型事業所が請け負うモデルへの転換です。これにより、工賃区分の維持だけでなく、企業からの直接的な信頼(=将来の就労先確保)という無形の資産を築けます。

「応援される事業所」としてのブランディング

マーケティング担当者は、作業風景や成果物をSNS等で発信する際、「福祉だから買ってください」ではなく、「この事業所の仕事は質が高い、だから結果として障害者の自立に繋がっている」というストーリーを強調しましょう。この「質の可視化」が、工賃向上と利用者確保の両面を支える最強の武器になります。

結論:B型事業所の立ち位置を再定義する

令和8年度の改定は、以下の二極化を加速させます。

  1. 「居場所型」: 基本報酬の引き下げを受け、経営が困窮する。
  2. 「実績・評価型」: 工賃向上や適切な移行支援を軸にフル活用し、入れ替わり(移行)を前提とすることで、地域からの信頼と新規利用者(高単価層)を獲得する。

「移行させても加点がない」という目先の点数にとらわれず、「国が予算を削りたいのはどのタイプの事業所か?」という逆算の視点が、今、経営者に求められています。

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