グループホームの実費徴収と利用者負担― 家賃・共益費・食費の、考え方
はじめに
グループホームには、二つのお金の流れがあります。
一つは、事業者が国(自治体)から受け取る報酬。
もう一つが、このページで扱う、利用者ご本人から受け取る実費です。
家賃、食費、光熱水費――暮らしにかかる費用を、どこまで、どのように利用者からいただくのか、ここには、金額の設定だけでなく、同意の取り方、そして「お金を預かる立場の倫理」という、論点が含まれています。住まいとお金の両方を預かるからこそ、慎重に向き合いたいテーマを今回は解説します。
何を、実費として徴収できるのか
グループホームで利用者から徴収できるのは、障害福祉サービスの給付費に含まれない費用に限られます。具体的には、次のようなものです。
- 家賃(住居にかかる費用)
- 食費(食事を提供している場合の材料費など)
- 光熱水費(電気・ガス・水道)
- 共益費(共用部分の維持にかかる費用)
- 日用品費(共同で使う消耗品など)
これらは、支援そのものへの対価(報酬)とは別に、実際にかかった費用として、利用者が負担するものです。逆に言えば、給付費でまかなわれるべき支援の対価を、二重に利用者から取ることはできません。何が実費で、何が報酬なのか、この線引きを曖昧にしないことが課題整理の出発点です。
家賃には、補助がある
利用者の負担を軽くするしくみもあります。代表的なのが、特定障害者特別給付費(補足給付)です。これは、グループホームの入居者の家賃の一部を補助する制度で、生活保護を受給している世帯や、市町村民税が非課税の世帯の方などが対象になります。
ただし、いくつか注意点があります。この補助は家賃のみが対象で、光熱水費や日用品費には使えません。また補助には上限があります。自治体によっては、独自の家賃補助を上乗せしているところもあります。対象や金額は制度改定・自治体によって変わりますので、開設地域の取り扱いを必ず確認してください。
実費徴収には、書面と「同意」が要る
実費は、事業者が決めた額を、ただ請求すればよいというものではありません。費用の使い道と金額を明記した書面を交わし、利用者本人の同意を得て、はじめて徴収できます。この手続きを省いたり、あいまいにしたりすると、運営指導で必ず問われます。実際、運営指導では利用者負担に関する指摘も少なくありません。
そして、「同意を得る」とは、その方が内容を理解し、納得して合意できる、ということが前提です。けれど、利用される方の中には、お金に関する判断に不安を抱える方もいらっしゃいます。書面にサインをもらえたとしても、その方が本当に理解できていなければ、それは形だけの同意になってしまいます。
判断に不安がある方には、後見などの制度も視野に
お金の判断に支援が必要な方の場合、成年後見・保佐・補助といった制度が、その方の権利を守る支えになります。グループホームの担当者も、こうした制度の基本を理解しておくことをおすすめします。これは、親御さんが亡くなった後を考えるとき、ご家族がいちばん心配される点でもあります。「自分がいなくなった後、この子のお金の判断を、誰が支えてくれるのか」。住まいと暮らしの土台を預かるサービスだからこそ、そこまで視野に入れておきたいところです。
経済的虐待という、越えてはならない一線
お金の話で、どうしても伝えておかなければならないことがあります。障害者虐待の類型の一つに、経済的虐待があります。本人の財産を不当に処分したり、正当な理由なく金銭を渡さなかったり、過大な費用を負担させたりすることが、該当します。
グループホームは、住まいとお金の両方を、日常的に預かる立場にあります。それは裏を返せば、経済的虐待が構造的に起こりやすい場でもある、ということです。たとえば「家賃補助があるから」と家賃を不当に高く設定する、必要のない費用を上乗せする――その一歩が、一線を越えれば、経済的虐待になります。
これは、決して軽い話ではありません。虐待が確認されれば、指定の取消や事業所名の公表といった行政処分の対象となり、社会的な信用を失います。障害者虐待防止法は、虐待を受けたと思われる方を発見した人に通報を義務づけてもいます。運営指導で最も多い指摘が虐待防止に関するものであることも、この問題の重さを物語っています。お金を扱うことの責任を、どうか軽く見ず、起こり得るリスクとして常日頃から注意・確認する運営を心掛けてください。
東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解
実費の徴収は、事業者にとって収益の一部です。
綺麗ごとだけでは経営は続きません。つまり、儲けが出なければ、事業そのものが立ち行かず、結局はそこで暮らす方の住まいを守れなくなります。そのことは、私もよく分かっているつもりです。
そのうえで、どうしてもお伝えしたいこととは、グループホームは、住まいとお金の両方を預かる立場であるというサービスだからこそ、障害のある方のお金を吸い取るような存在には、決してならないでほしいのです。
万が一、従業員がそれをやってしまえば、グループホームという仕組みそのものが、社会から疑いの目で見られることになります。
目指してほしいのは、厳正で、真正なサポーターであること、お金にきちんと向き合い・透明に扱い・その方の暮らしを守るために使うこと、収益を確保することと、その方を大切にすることは、両立できます。両立させることは地道なサービスの積み重ねです。それらの適切な行動を維持するのも私たちの仕事だと考えています。運用について不安がある方は遠慮なく、専門家にご相談ください。
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