グループホームの入居者募集と関係機関連携|GHの入口の作り方

はじめに

グループホームを開設したら、次は入居者をどう迎えるか、です。報酬の記事でお伝えしたとおり、家賃という固定費は、部屋が空いていても出ていきます。だからこそ入居者募集は、経営の生命線です。ただ、その方法は、一般の賃貸物件のように「広告を出して待つ」のとは、少し違います。小規模事業者としてグループホームを運営する場合、入居につながるのは、利用される方に直接呼びかけるより、その方を支える関係機関とつながる経路であることが多いでしょう。このページでは、そうした「入口の作り方」と、関係機関との連携についてお伝えします。

入居は、相談支援専門員が起点になる

まず、グループホームの入居がどう決まるのかを押さえておきましょう。多くの場合、利用される方には相談支援専門員がついています。相談支援専門員は、その方のサービス等利用計画を作り、どんな障害福祉サービスを、どの事業所で利用するかを、本人と一緒に考えていく立場です。グループホームへの入居も、この相談支援専門員が、その方に合う住まいを探して紹介する、という流れが基本になります。

つまり、グループホームの「営業先」は、利用される方への直接広告というより、その方を支える相談支援専門員や関係機関だ、ということです。ここが、一般の賃貸住宅の集客とはまったく違うところです。立派なチラシを作ることも効果があると思いますが、その方につながる関係機関における認知度を上げた方が、入居に繋がると考えられます。

入口は、一つではない ― 複数の経路を知る

大きな法人でブランドが確立している場合を除けば、入口は自分から開いていく必要があります。その経路は、一つではありません。

  1. 相談支援専門員(入居の起点)
    最も基本の経路。日ごろから顔の見える関係を築いておくことが、いざというときに効きます。
  2. 自治体・基幹相談支援センター
    地域の相談の中核。まずは自治体の障害福祉の窓口に、事業所の存在を知ってもらうことも大切です。東京都の場合は、指定を受ければ東京都福祉保健財団が運営する「福ナビ」にて検索されますが、事業所の概要が掲載されるものの空室の状況までは明らかになっていないため、「グループホームが存在する」までしか情報がされません。
  3. ほかの障害福祉サービス事業所
    たとえば、日中の支援サービスと連携する、訪問系サービスの方と連携するといったことを指しています。利用者の生活は複数のサービスにまたがる事も多く、連携が入居にもつながります。
  4. 事業者どうしの連絡会・情報発信の場
    地域や障害種別によっては、事業者が連絡会をつくり、空室情報の発信や質の向上、行政への働きかけまで担っている例もあります。
  5. その他に
    東京都かつ精神障害者向けの場合では、東京都精神障害者共同ホーム連絡会に入会すると空室状況も掲載いただけます。
    東京都精神障害者共同ホーム連絡会 https://tokyo-homeren.com/

空室情報の扱いにも、地域差があります。市として空室状況の一覧を作成・公開している自治体がある一方、そうした一覧が見当たらない自治体もあります。また、地域や障害種別ごとに、事業者どうしのネットワークが情報を集約している場合もあります。「自治体が出していないから発信の場がない」わけではなく、どの経路に自分の事業所を繋げておくかを、自分で選び取っていくことが大切です。まずは、開設する地域に、どんな経路があるのかを調べるところから始めてください。

「埋めたい」を、先に立てない

入居者募集で、いちばん気をつけたいことがあります。それは、「早く空室を埋めたい」という事業者の都合を、先に立てないことです。

空室を焦るあまり、その方に本当に合うかを見極めないまま入居を進めてしまうことは、報酬や実費の記事でもお伝えしてきたとおり、避けるべきことです。無理に埋めようとすれば、利用される方やご家族との間の納得感が形成される前に契約となり、心のどこかに猜疑心のような引っかかりが生まれます。そして、住まいは長いお付き合いです。最初の入口で信頼を損なえば、その後の長い関係を、出だしからつまずかせてしまいます。それは、トラブルの種を自ら埋めるようなものです。

ここで思い出していただきたいのが、グループホームは、物件というハードが必要な一方で、続けていくのは人と人との関係というソフトの力だ、ということです。一般の住まい探しでも、最後は人との相性や信頼で決まっていく。グループホームなら、なおさらです。関係機関との信頼も、利用される方との信頼も、時間をかけて築き、それを積み重ねることが結果として安定した入居につながり、事業を支えてくれます。

地域になじむことが、緊急時に効く

関係機関との連携は、入居者募集のためだけのものではありません。住まいを預かる事業だからこそ、地域とのつながりは、緊急時の命綱になります。

近年、各地で大きな災害が続いています。地震や水害が起きたとき、利用される方の安全をどう守るか。避難はどうするか。そうした場面で、日ごろから地域社会になじみ、近隣や関係機関と顔の見える関係を築けているかが、緊急事態が起きた時の情報や物資の入手に差を生みます。地域から孤立した事業所では、いざというときに地域からの助けを十分に得られない可能性があります。入居者募集を通じて地域とつながっていくことは、そのまま、災害や緊急時に強い事業所をつくることにもつながっているのです。

東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解

グループホームは、物件がなければ始められないサービスです。その意味で、ハードが土台であることは間違いありません。しかし、事業を続けていくために必要なのか、人と人との関係というソフトの力です。
相談支援専門員も、自治体の担当者も、ほかの事業所も、そして利用される方やご家族も、関わるすべての人との信頼を、日ごろの積み重ねていき、その積み重ねが、いざというときに入居へとつながり、事業を支えてくれます。
加えて、障害者の住まいを預かる事業だからこそ、地震などの災害や緊急時に、地域とのつながりが命綱になります。
近年は各地で大きな災害が続いています。そのため、利用される方だけでなく、地域の多くの方との信頼関係を築き、社会インフラの一部としての体制を持てるのかがグループホームやその他障害福祉施設に期待されている事となっています。
もし経営者である皆様にとって手に余るのであれば、事業を始めないという判断もまた、誠実さのひとつだと私は考えています。
今一度、「あなたのところで障害者が住まう意味・意義」は何でしょうか。まず、そこに立ち返って考えてみることで、やるべきことが明確になるのではないでしょうか。


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