事業構想の言語化とペルソナ設計|社会課題に挑む「私のフレームワーク」

はじめに:事業構想の“言語化”が必要な理由

事業計画の策定において、「事業の必要性や想いをどう伝えるか」という課題に直面することは少なくありません。制度の複雑さや支援ニーズの多様性、支援者としての立ち位置——これらを漠然と抱えたままでは、次のマーケティング設計にもブレが生じます。

本記事では、障害福祉領域における私自身の取り組みをもとに、ペルソナの定義と社会的意義の明確化を中心に、「誰のために」「なぜこの事業を立ち上げたか」をお伝えします
この2つは、その後の事業の実態に近い、数字の根拠や制度や必要な制度対応・許認可の策定に大きく役立ちました
また、前回記事にてご紹介したHow toとは違うフレームワークもご紹介します。
皆様においては、この後に検討する収支計画やサービス設計などマーケティングの起点となる事業フレームワーク策定のヒントになると思いますので、是非とも、最後までお読み下さい。

ペルソナの定義:曖昧さからの脱却

多様性を認める社会の変化に応じて、障害福祉サービスを提供する事業者は年々増加しました。
特に、就労継続支援B型やグループホームの運営者など、小規模法人・個人事業主の増加は顕著です。

しかし、障害福祉制度運用に必要な申請・加算業務は煩雑かつ専門的です。かつ、国から受給される様々な加算には、必要な人員の配置や運営ルールの策定、ルール通りに運用されている実態など、色々な要件をクリアしなければなりません。
施設が増えたことと、コロナ禍で行政における監視体制が不十分となってしまい、食事が適切に提供されない虐待事件が発生したりするなど、制度趣旨に従った活用がなされず、施設運営も停滞している実態が見えてきました。

東京都でも行政による不適切運営の行政指導が多数あり、管理業務に課題を抱える事業者があることがわかってきました。

本事業のペルソナは以下の通りです:

  • 障害福祉事業者の中でも小規模な法人・個人事業主
  • 対象は地元の市区町村および隣接する市区町村のみ
  • 障害福祉サービスを提供しながら “管理業務”を兼務して担っている業務負担の大きい現場担当者
  • 体制整備に課題意識を持ち始めている
  • 福祉サービスの提供に尽力したいと思っている管理者およびサービス管理責任者

このペルソナ設定により、サービス設計や広報戦略の論点が整理され、支援対象との解像度が高まり、チラシやターゲットとなる事業者が明確となりました。

社会的意義の明確化:制度と現場の“隙間”を埋める

障害福祉制度には、国からの助成金を活用してサービスの質を高める仕組みがあります。
しかし、その制度を「適切に使いこなす」ためには、指定申請・加算手続き・運営管理に至るまでの行政が求める条件を整える必要があります。

この事務領域は、制度上の“入口”でありながら、実務面では常時継続することが難しく、制度活用の空白地帯になりがちです。そこで私は、「常勤でも非常勤でもない外部支援の存在」、つまり、制度と現場の間の“支援のすき間”に立つ第3の社員として、事務支援に特化する構想を立てました。

さらに、福祉領域の人材不足や、福祉ニーズの多様化もあり、現場の福祉専門職の方々が置かれている状況は日々変化しています。こうした未来像も見据えながら、支援の社会的役割を定義しました。

事業フレームワークの抽出:マーケティング分析の起点

ここで、本事業構想を以下の5つの問いで整理しました。

事業フレームワーク構築における5つの問い

このフレームは、今後のマーケティング分析(STP・ジャーニー設計・競合優位性の抽出)において、判断軸として機能します。

これら5つの問いによって事業構想を言語化することで、対象顧客・提供価値・差別化要素などが明確になり、マーケティング戦略への展開が論理的に可能になります。

もし、リアルな事業計画の作成をしたい方は、以下の3つのフレームワークも使って事業アイデアを深堀してみましょう。

  • STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)**の基礎になる「セグメント(誰か)」と「ポジション(どう違うか)」が見えてくる
  • カスタマージャーニー設計では、「相手がどんな状態で何に困り、どこで出会い、どう信頼を築くか」を見立てるヒントになる
  • 競合優位性の抽出では、「代替しにくい支援」や「制度の周辺を担える強み」が差別化要素となる

継続性を担保する事業設計

Excelで3年間の収支のシミュレーションを作成しました。
指定申請などのスポット業務に加え、処遇改善加算申請や研修企画などの定期支援型サービスも盛り込んだ売上設計を行いました。
サービスの単価設定については、市場価格は当然のこと、2期目以降の営業黒字化を目指せるよう、サービス内容の設計とそれに応じた単価設定を行いました。

また、今後は他の資格の取得などを視野に入れ、業務の拡張性と継続可能性の両面から事業設計を行いました。

結び:言語化された構想が、次の戦略へつながる

事業計画は数字の羅列ではなく、「どのような社会のすき間に応えるか」を言語化することで、初めて戦略の起点となります。制度と人の間にあるギャップを埋める仕事は、書類以上に社会の仕組みそのものに関与する仕事です。

今回ご紹介したフレームをもとに、次回は実際の計画書作成の過程でどう磨き上げていったか——その修正ポイントと気づきを実録形式でご紹介します。お楽しみに。

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