【DBS法】認定取得から継続運用へ!5年ごとの再確認と台帳管理でリスクをゼロに
目次
はじめに:確認記録の「更新義務」は継続的な安全配慮の証
日本版DBS法(こども性暴力防止法)に基づく特定性犯罪歴の確認は、一度きりの手続きではありません。事業者は、子ども関連業務に従事する従業員について、原則として5年ごとに再確認(更新)を行うことが義務付けられています。
この「更新義務」は、子どもの安全を継続的に確保するための最も重要な仕組みです。更新を怠ると、DBS法が意図する子どもの安全を確保する環境が整っていないとして「義務違反」となり、認定取消しや罰則の対象となる重大なリスクに直面します。
DBS制度に限らず、許可や認定を取得した事業者は、初回の手続きは無事完了したものの、「5年後の更新」に向けた準備や体制が不十分なため、認定を失ってしまう事態も想定されます。特に、初回の確認時と同じ手続きを「5年ごと」に全従業員に対して実施することは、事務作業上の大きな負担となり得ます。
本記事では、DBS確認記録の更新手続きの法的義務と、更新を確実に実行し、実務的な負担を軽減するための具体的な管理上の注意点について、行政書士の視点から解説します。
DBS確認記録に関する期間管理と法的リスク
DBS確認記録の管理には、複数の法定期間が定められており、それぞれの期限を厳守することが事業者の義務です。いずれかの期間を逸脱した場合、認定取消しや罰則などの重大なリスクにつながる可能性があります。
主な期間と対応義務
- 更新期間の原則
犯罪歴の確認の有効期間は原則として5年間です。事業者は、この期間が満了する前に、従業員に対して再度確認手続きを行う必要があります。 - 退職後の廃棄義務
従業員が退職などにより子ども関連業務に従事しなくなった場合、確認記録は退職後30日以内に廃棄しなければなりません。この場合、更新手続きは不要です。 - 認定取得後の初回調査義務
認定機関となった事業者は、認定取得後1年以内に、既存の従業員に対して犯罪歴の調査を実施しなければなりません。これは制度運用開始時の必須義務です。
「更新忘れ」が招く法的リスク
有効期間が満了しているにもかかわらず更新手続きを行わなかった場合、その従業員は「未確認のまま従事している者」と見なされます。
- 義務違反
DBS法に基づく義務違反として、こども家庭庁による行政指導、認定取消し、または罰則の対象となります。 - こどもの安全確保義務違反
万が一、当該従業員がその間に犯罪行為を行った場合、事業者は「性暴力の防止措置を怠った」として、重大な安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
よって、確認記録の管理においては、更新・廃棄・初回調査の各期限を正確に把握し、従業員の入社時期や確認履歴を記録・管理する体制の整備が不可欠です。
更新手続きにおける実務的なフローと注意点
更新手続きは、初回の確認手続きと原則として同じフローで実施されます。重要なのは、このルーティン作業を確実かつ効率的に行うための社内体制の構築です。
従業員からの「再同意」と「戸籍情報提供の準備」の取得
更新手続きの際も、初回と同様に、従業員から戸籍に関する情報(戸籍電子証明書提供用識別符号)の取得を依頼する必要があります。
- 戸籍情報提供の準備
DBSの犯罪歴の確認申請には、従事者本人の戸籍情報が必要となります。5年ごとの再確認時には、初回の確認時と同様に、従事者本人が戸籍電子証明書提供用識別符号を新たに取得・提示する手続きが必要になる点に注意が必要です。 - 法的な義務として犯罪歴を再度確認する手続きを実施するにあたり、後々のトラブルや訴訟リスクを回避するため、再確認への協力(同意)を得たことの記録(書面または電磁的記録)を作成し、確認記録の一部として適切に保管することをお勧めします。この手続きを形式的なものにせず、DBS制度の重要性を改めて従業員に周知する機会とすることが望まれます。
確認記録の厳重な継続管理
事業者は、確認時に交付された情報は引き続き5年間、厳重に管理し続けなければなりません。
- 管理の明確化
確認の記録を管理する担当者を明確にし、紛失や不正利用がないよう、以前で解説した情報管理の体制やルールに基づいた厳格な措置(アクセス権限の制限など)を継続して履行する必要があります。
更新義務を履行するための「確認記録台帳」の整備
「更新忘れ」を防止し、継続的にDBS法を遵守するためには、個々の従業員の確認記録をまとめて管理する「確認記録台帳」の整備が不可欠です。
台帳に記載すべき重要項目
更新管理に特化した台帳には、以下の項目を必ず記載し、管理担当者が定期的にチェックする仕組みを構築します。
現状で台帳に記載すべき事項として明らかになっている事項は以下の通りです。
- 従業員情報
- 氏名
- 部署(対象業務の従事の有無)
- 子ども関連業務への従事開始日
- 施行時に現職者が未確認である場合はその旨
- 確認履歴
- 申請区分(新規採用、施行時現職者、5年後の再確認の別)
- 犯罪事実確認書の確認年月日および受領日
- 次回の更新期限(5年後の年月日)
- 「いとま特例」の適用有無
- 「やむを得ない事情」により確認できない場合はその内容
- 犯罪事実確認までの間に講じる「必要な措置」の内容
更新期限の「事前アラート」設定
実務上の負担を軽減するため、更新期限の直前になって慌てるのではなく、期限の半年前、3ヶ月前など、段階的な事前アラートが鳴る仕組みを構築することが推奨されます。これにより、従業員の再同意取得や手続きの準備期間を十分に確保し、義務違反のリスクをゼロにします。
まとめ:継続的な義務履行のための管理体制構築
DBSの認定事業は、確認や記録の更新義務は、事業者が子ども関連業務を継続する限り、永久に続く責務です。初回手続きの完了をゴールとするのではなく、この5年ごとのルーティン作業を確実に履行できるかどうかが、企業のコンプライアンス遵守体制の真価を問います。
行政書士は、この継続的な義務履行を支援するため、更新期間の厳密な計算、確認記録台帳の整備、および情報管理規程の改定を通じて、貴社の永続的なコンプライアンス体制の構築をサポートします。更新手続きのスムーズな実施は、子どもの安全と企業の信頼を守るための重要な投資です。
