日本版DBS「5年ごとの再確認」完全ガイド|期限管理と事務平準化のコツ(東京都府中市)

はじめに

2026年度の認定制度の開始に向け、多くの事業者が「最初の認定取得」と「現職者の初回確認」に注力しています。しかし、経営者や事務担当者が中長期的な視点で備えておくべきは、その後の「5年ごとの再確認」です。
日本版DBS(こども対象性暴力防止法)では、一度確認して終わりではなく、継続して従事するスタッフに対して、一定期間ごとの再確認を義務付けています。この期限を一日でも徒過すると、確認義務違反として認定の維持に重大な支障をきたします。

今回は、制度の義務を果たしながらも、現場の事務作業をパンクさせないための「賢い再確認フロー」を解説します。

なぜ「5年」のサイクルを戦略的に管理すべきなのか

日本版DBS法では、直近の確認日から5年を経過する日の属する年度の末日までに、改めて犯罪事実確認を行わなければならないと定められています。

ここで事務担当者が注意すべきは、「5年後の年度末に全員一斉に期限がやってくる」というリスクです。 特に制度開始時の「認定時現職者」については、1年以内に全員の確認を終える必要があるため、その5年後には全スタッフの再確認時期が重なり、事務処理が爆発的に増加する「5年周期のパニック」が予想されます。

この波をいかに分散させ、日常業務として定着させるかが、認定事業所の経営者に求められる実務能力です。

再確認ルールの策定:法定期限と「平準化」の両立

法律上の期限は「5年後の年度末」ですが、実務上はそれよりも前倒しで計画を立てる必要があります。

法的期限の正確な把握(5年ルール)

計算の仕方

「直近の確認日の翌日から起算して5年を経過する日の属する年度の末日」が法令上の定義です。

例: 2026年6月に確認したスタッフは、5年後の2031年6月が含まれる「2031年度末(2032年3月末)」が最終期限となります。

事務負担を分散するための「前倒し」

ただ、原則論に沿って対応すると、期限ギリギリに全員分を申請すると、書類の不備やシステムの混雑で期限を過ぎるリスクがあります。

それらを想定して、DBS法のガイドラインでは、照会の負担の平準化を提案しています。

法律上、対象となる年度の「初日(4月)」から順次確認することができます。年度末に集中させず、月ごとに数名ずつ計画的に実施するフローを構築しましょう。

こども性暴力防止法施行ガイドライン「5年ごとの再確認の期間の例」

平準化の仕組みを活用した、照会対象を抽出する基準例

 「入社月」や「現在の担当業務の更新月」など、社内で納得感のあるスケジュールを組みましょう。従業員の納得感をより高めたい場合は、「情報管理規程」に実施時期の考え方を明記しておくことも効果的です。

事務担当者の負担軽減策:システムとアラートの活用

数名ならともかく、数十人、数百人のスタッフの有効期限を頭で管理するのは不可能です。ミス(確認漏れ)が発生すれば、それは即座に「認定の危機」に繋がります。

表計算ソフト(Excel等)による自動化

専用システムを導入せずとも、既存の管理台帳に「関数」を一つ加えるだけで負担は劇的に減ります。

アラート機能の構築

「前回確認日」を入力すると、5年後の日付が自動算出され、期限の3ヶ月前になるとセルの色が変わる(条件付き書式)ように設定しましょう。

ステータス管理

「今年度対象者」「同意取得済み」「申請中」など、進捗を可視化することで、年度末の駆け込み申請を防止します。

採用フローとの統合

5年という長期間の管理になるため、担当者の交代も想定されます。誰が担当になっても「この年度はこのメンバーの再確認が必要」と一目でわかるマニュアルを整備しておくことが、形骸化を防ぐ鍵です。

また、新入社員のDBS確認を行うタイミングで、取扱記録などに「次回の再確認時期」も併記しておくのが、管理する情報が一元化され、最も漏れのない工夫でしょう。

現場への説明:「継続的な安心」を維持するためのプロセス

5年ごとの再確認は、スタッフにとって「またか」と感じられるかもしれません。経営者や人事担当者は、この定期的な手続きを「無実や潔白を証明するための手続き」であり、かつ「ポジティブなブランド維持活動」であることを説明する必要があります。

全社周知のメッセージ(例)

「当事業所では、子どもたちの安全を守り続けるため、法律に基づき5年ごとの『定期再確認』を実施しています。これは、私たちが『常に』安全な環境を提供していることを社会に証明するための、大切な更新手続きです。

スタッフの皆様には再度のお手間をおかけしますが、この積み重ねが保護者様からの揺るぎない信頼に繋がり、ひいては皆様が安心して働ける環境や会社で働くことへの誇りを守り、皆様の潔白を証明する取り組みとなります。ご理解とご協力をお願いいたします。」

信頼を損なわないためのポイント

公平性の強調

特定の個人を選ぶのではなく、法律に基づき「全員が定期的に」行うプロセスであることを伝えます。

プライバシーの再保証

5年前と同様、情報の取り扱いは厳格な制限下にあることを改めて周知し、安心感を醸成します。

結び:仕組み化こそが、認定を「一生モノ」にする道

日本版DBSの運用において、最も危険なのは「期限を忘れること」です。 5年というサイクルは、日常の事務の中では忘れ去られやすい期間です。

  1. 法定期限(5年後の年度末)から逆算した年度計画を立てる(Ⅰ)
  2. ツールによる自動アラートで属人化を排除する(Ⅱ)
  3. 「更新」の意義を全社で共有し、協力を得る(Ⅲ)

この仕組みを今から整えておくことで、5年後に慌てることなく、地域から選ばれ続ける「安全ブランド」を維持し続けることができます。

次回は、判断に迷いやすい「短期間従事者・ボランティアのDBS確認:線引きと例外措置」について詳しく解説します。

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