自立訓練(生活訓練)とグループホーム|組み合わせの判断|4-LeafClover
自立訓練(生活訓練)とグループホーム― 日中活動と住まいを、組み合わせるという判断
「自立訓練(生活訓練)とあわせて、グループホームも」と思い浮かんだ方もいるかもしれません。日中の活動である自立訓練(生活訓練)と、夜の住まいであるグループホーム。
その両方を一つの法人が持てば、利用者の生活を切れ目なく支えられます。
ただし、この組み合わせは、就労継続支援B型などと組む場合とは、仕組みが根本から違います。ここを取り違えたまま計画を立てると、期待していた効率化がまったく得られない、ということになりかねません。今回は、自立訓練とグループホームを組み合わせるときの判断のポイントを、実務の視点でお伝えします。
大前提 ― グループホームは「多機能型」では組めない
最初に、いちばん大事なことをお伝えします。
グループホーム(共同生活援助)は、多機能型の対象ではありません。
多機能型として一体的に行えるのは、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援・児童発達支援・放課後等デイサービスといった、日中活動系のサービスです。
グループホームは「住まい」のサービスであり、多機能型という枠には入りません。
これが何を意味するか。
「自立訓練とB型の多機能型」の記事でご紹介した、多機能型の三つの利点——最低定員の緩和・サービス管理責任者の共有・設備の一部兼用—といった多機能型で共有できる人員や施設の精度はグループホームには使えないことを意味しています。自立訓練とグループホームは、それぞれ別のサービスとして、別々に指定を受け、別々の事業所として立ち上げることになります。
就労継続支援B型と同じ感覚で考えないこと
「もう一つサービスを足すのだから、多機能型と同じように効率化できるはず」――この思い込みが、いちばん危険です。
グループホームは、施設の立ち上げという角度においては、日中活動の延長線上の話ではなく、まったく別の事業を一つ立ち上げる話です。
人員も、物件も、指定も、収支も、独立したものとして考えてください。
組み合わせには、二つの入り方がある
生活訓練とグループホームの人員と施設の共有はできないことは、前述のとおりですが、グループホームの利用者を生活訓練を組み合わせる場合、それぞれの利用者はどう組み合わせとして考えられるのか、組み合わせには2つの方向があります。
- (a) 自立訓練の卒業生の「住まい」としてグループホームを持つ
生活訓練は原則2年の有期限サービス。生活能力を整えた方が、次にどこで暮らすのか。その受け皿として住まいを用意する、という発想です。 - (b) グループホーム入居者の「日中活動先」として自立訓練を持つ
グループホームは、主に夜間・休日の支援を行うサービスです。入居者は日中どこかへ通う必要があります。その行き先を自法人で用意する、という発想です。
どちらから入っても、利用者が最後に行き着く絵は同じです。
生活を整え(自立訓練)、日中は働き(就労継続支援B型など)、夜は住まいで暮らす(グループホーム)。日中活動と住まいが並行して走り、利用者の生活全体を支える形になります。
しかし、利用者へのサービスのアプローチのタイミングや、利用者の状況が少し異なってきます。ご自身の支援の構想がどちらにフィットするのか一度確かめると、サービスの組み合わせや優先して整えるべきものが見えてきます。
最大の論点 ― 「一貫した支援」か、「囲い込み」か
同じ法人が住まいと日中活動の両方を持つとき、必ず向き合うことになる問いがあります。
それは、それが利用者にとっての一貫した支援なのか、それとも囲い込みなのか、という問いです。
グループホームは住まいの場である以上、日中活動事業所との位置関係に配慮することが求められ、住宅地、あるいは住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあることが求められます。つまり制度の思想は、住まいと日中活動は、本来分かれているのが地域生活の自然な姿と考えられています。
経営の効率だけを考えれば「同じ敷地に置けば送迎もいらず管理も楽」となりますが、その発想は制度の趣旨から考えると少しずれた理解となるかもしれません。
では、一貫した支援と囲い込みを分けるものは何でしょうか。
それは、利用者に選択の余地があるかどうかだと私は考えています。
ほかの日中活動先も選べる状態にあったうえで、ご本人が結果として同じ法人のサービスを選ぶのなら、それは一貫した支援です。けれど、最初から選択肢が示されず、「そこしかない」と利用者に刷り込んでいるならば、それは囲い込みです。
自立訓練とグループホームを同じ法人にて運営し、サービスを提供すれば、一貫した軸で自立した生活を支えられるという良さがあります。同じ理念、同じチームで、生活から住まいまで切れ目なく支えられます。それは、障害のある方にとっては、生活が安定しやすいことにも繋がるでしょう。
だからこそ、「あなたの事業所は、利用者に選択の余地を残せていますか。」この問いに対し自分の言葉で「Yes」と答えられるかどうかが、自立訓練とグループホームの組み合わせが最適なのかの検討のスタート地点にはじめて立てる事になります。
グループホームの「要件の緩和」を当てにしない
グループホームでは、夜間支援の体制や、事業所どうしの距離が近い場合など、一定の条件のもとで人員の要件が緩やかになる仕組みがあります。
その効果は人員が少なくなるため、採用難の昨今の事情を考えると見逃せません。ただ、都合よく距離が近いといった条件に当てはまる物件が見つかる、というラッキーは、起きません。緩和はあくまで例外的な取り扱いであり、前提にすべきは一般的な要件をきちんと満たすことです。
そして、各種障害福祉サービスの一般的な要件を満たすハードルは、そもそも高いです。グループホームにおいても、物件の条件があり、自立訓練の物件と同じく、バリアフリー条例や消防といった、設備基準の“外側”の壁も立ちはだかります。
緩和を織り込んだ計画ではなく、原則の要件を満たす計画を立てたうえで、使える緩和があれば使う——この順番で事業開始の可否を検討してください。
物件は、家賃という固定費と収益のバランス
グループホームの経営で難しいのは、家賃という固定費と、収益のバランスです。
住まいである以上、物件は借り続けることになり、入居者が埋まっていてもいなくても家賃は費用として出ていきます。
日中活動は「その日通った人数」で報酬が動く一方、住まいの固定費は動きません。
だからこそ、自立訓練とグループホームを併せ持つなら、それぞれ別々に収支のシミュレーションを立てることが欠かせません。二つの事業は、収益の構造がまったく違います。合計の売上だけを見ていると、固定費の重さを見誤ります。
24時間365日の責任
日中活動しか経験のない事業者にとって、いちばん大きな変化がここです。グループホームは、夜も休日も、利用者の暮らしが続きます。夜間支援体制をどう組むか、世話人をどう確保するか。日中活動の延長線上ではなく、まったく質の違う責任が生じることを、始める前に受け止めてください。
東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解
障害者の住まいを預かるということは、その方の人生の長い時間に関わるということです。親御さんが亡くなった後も続く、とても長いお付き合いになる事もあるでしょう。
よって、障害のある方の人生を左右するほどの事業であり、責任は重いです。そのことは、始める前にどうか受け止めていただきたいと思います。
そのうえで、私が大切にしたいのは「グループホーム内で支え続けること」だけがゴールではない、という視点です。
ご存じの方も多いと思いますが、グループホームにはサテライト型住居(グループホームの本体から離れてほぼ一人暮らしをする形態)があり、さらにグループホームを出た後の一人暮らしを支える自立生活援助というサービスが存在します。
障害のある方を、常に支援を受ける弱い立場の人としてだけ見る社会から、ご本人がやがて自分の力で暮らしていける社会へ。最終的にはその自立を支えられる仕組みまで含めて考えていく、自立訓練とグループホームを併せ持つということは、その道筋を事業所として支援する、ということだと私は考えています。
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