自立訓練(生活訓練)の報酬と収益構造|改定後のリアル|4-LeafClover
自立訓練(生活訓練)の報酬・収益構造― 改定後のリアルと、加算の考え方
自立訓練(生活訓練)は、標準利用期間が定められた“有期限”のサービスです。
利用者はやがて卒業していくため、収益は「利用者が入れ替わり続ける」ことを前提に設計する必要があります。長く通ってもらって安定させるタイプのサービスとは、収益の考え方が根本から異なります。
今回の記事では、改定後の基本報酬の構造と、加算をどう考えるかを、実務の視点でお伝えします。
基本報酬の構造 ― 定員が増えるほど単価は下がる
通所の生活訓練の基本報酬(生活訓練サービス費Ⅰ)は、利用定員の規模ごとに1日あたりの単位数が定められています。特徴は、定員が大きくなるほど1人あたりの単価が下がっていく“逓減”の構造です。
【生活訓練の基本報酬(生活訓練サービス費Ⅰ)】
- 定員20人以下:776単位/日
- 定員21〜40人:693単位/日
- 定員41〜60人:659単位/日
- 定員61〜80人:633単位/日
- 定員81人以上:595単位/日
生活訓練の定員は原則20名以上ですから、多くの新規事業所は「定員20人以下・776単位/日」からのスタートになります。ここに各種加算が上乗せされ、地域区分に応じた単価(1単位あたりの金額)を掛けて、実際の報酬額が決まります。
数字は「改定時点・地域区分」に影響を受ける、必ず最新の情報を確認してください。
1単位あたりの金額は地域区分によって異なり、報酬は改定で見直されます。
実際の収支計画を立てる際は、必ず最新の報酬告示と、開設地域の地域区分を確認してください。
有期限だからこそ ―「入口」を切らさない
有期限のサービスでは、利用者が卒業した分を、新しい利用者で埋め続けなければ、稼働率が落ちて収益が下がります。つまり、利用者の「入口」をどう確保し続けるかが、収益の生命線です。
その入口をつくるのが、関係機関とのつながり(リレーション)です。生活訓練は知的障害・精神障害のある方の利用が中心ですから、そうした方が関わる医療機関・相談支援事業所・地域のコミュニティとの接点が、そのまま利用者の紹介につながります。開業してから慌てて営業するのではなく、開業前から、対象となる方の特性に合った連携先とのつながりを育てておく——この地道な関係づくりが、稼働率を支えます。
「出口」の管理 ― 追い出しではなく、支援計画の進捗管理で
自立訓練には、標準利用期間超過減算という仕組みがあります。標準利用期間(生活訓練は原則2年、長期入院者等は3年)を6か月以上超えて利用が続くと、基本報酬が×95/100に減算されます。
この減算があるからといって、採算のために利用者を無理に卒業させる—それは、利用者にとって良いことではありません。大切なのは、一人ひとりの支援計画をきちんと進め、着実に卒業(地域生活への移行)へ導いていくことです。結果として標準利用期間内におさまり、減算も避けられる。出口の管理とは、追い出しの管理ではなく、支援計画の進捗管理に尽きる、というのが私の考えです。それが、結局のところ評判となり、入口と出口の管理のしやすさにもなるでしょう。よって、数字の話と支援の質は、ここで一つにつながります。
加算は「計画的に」― シミュレーションと予実分析
加算は、体制や連携を整えると、こまやかに取っていくことができます。
ただし、行き当たりばったりでは取りこぼしますし、逆に「加算ありき」で無理をすると、現場や管理者が疲弊します。
そのため、どんな人材配置で、どの加算を、どう取っていくのかを計画・シミュレーションしておくことをお勧めしています。そして、3か月あるいは半期に一度、予実分析(計画と実績の差の確認)を行うことです。人の入れ替わりだけでなく、加算の取得状況まで含めて数字を見ていくと、収益の実態が早く正確につかめます。
精度の高い計画を立てるには、加算を理解することが必要です。次は、自立訓練(生活訓練)の代表的な加算を解説します。
取得を検討したい、代表的な加算
生活訓練で取得を検討したい加算を、代表的なものに絞って挙げます。
※今回例示するほかにも加算があります。
代表的な加算
- 福祉・介護職員等処遇改善加算・・人材確保の面からも、まず取りたい
- Ⅰ(イ)所定単位×164/1000 ※1か月あたり
- Ⅰ(ロ)所定単位×171/1000 ※1か月あたり
- Ⅱ(イ)所定単位×160/1000 ※1か月あたり
- Ⅱ(ロ)所定単位×167/1000 ※1か月あたり
- Ⅲ 所定単位×124/1000 ※1か月あたり
- Ⅳ 所定単位×106/1000 ※1か月あたり
- 福祉専門職員配置等加算・・有資格者の比率等に応じて変化。採用戦略と噛み合
- Ⅰ 15単位/日
- Ⅱ 10単位/日
- Ⅲ 6単位/日
- 医療連携体制加算・・病院からの紹介・医療的な連携がある場合
- Ⅰ 32単位/日
- Ⅱ 63単位/日
- Ⅲ 125単位/日
- 就労移行支援体制加算・・前年度に就労6か月継続者が1名以上いる場合、所定単位数にその前年度実績の人数を乗じた単位数を加算
- 定員20人以下 54単位/日
- 定員21~40人 24単位/日
- 定員41~60人 13単位/日
- 定員61~80人 9単位/日
- 定員81人以上 7単位/日
就労移行支援体制加算の“見落とし”
この加算は、生活訓練を受けた後に就労し、6か月以上就労が継続している方が前年度に1名以上いる場合に算定できます。ただし注意点として、前年度実績に含める就労先から、就労継続支援A型事業所への移行は除かれます。A型への移行はカウントされない、という点は見落とされがちなので、実績の数え方に気をつけてください。
- ピアサポート実施加算・・障害者ピアサポート研修修了者等の配置が要件
- 100単位/月
- 個別計画訓練支援加算・・社会福祉士や精神保健福祉士等が作成した個別訓練実施計画に従って訓練を実施し、訓練による生活能力の維持向上の評価と個別計画の見直しを行っている
- Ⅰ 47単位/日(支援プログラム等を公表している場合)
- Ⅱ 19単位/日
- 食事提供体制加算・・収入が一定額以下の利用者に対して、栄養面に配慮した食事を提供した場合
- 30単位/日
- 送迎加算・・利用者の自宅等と施設との間の送迎を行った場合。送迎を利用する人数と回数に応じて区分が分かれる
- Ⅰ 片道21単位 1回の送迎に平均10人以上が利用し、かつ、週3回以上の送迎を実施)
※利用定員が20名未満の場合は、平均的な利用率が50%以上 - Ⅱ 片道10単位 ①か②の場合
①1回の送迎に平均10人以上が利用
※利用定員が20名未満の場合は、平均的な利用率が50%以上
②週3回以上の送迎を実施)
- Ⅰ 片道21単位 1回の送迎に平均10人以上が利用し、かつ、週3回以上の送迎を実施)
精神・知的障害のある方の中でも、比較的自立に近い方であれば、生活訓練の先に就労移行支援へとステップアップしていく道筋もあります。加算は、こうした支援の流れと自然につながる形で取っていくのが、無理がなく、現場も疲れません。
東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解
報酬が欲しいという気持ちは、私もよく分かります。適法に要件を満たし、サービスを適切に提供した分は、しっかり受け取ってよいと考えています。
ただ、忘れないでいただきたいのは、これは税金が投入されているサービスだということです。悪い心を持って、不正に加算を取得することは、絶対にしてはいけません。障害福祉制度の根幹を揺るがすことになるかもしれません。
そしてもう一つご注意いただきたいのが、悪意はなくても、制度の変更を知らない、理解が不十分なまま、不適法な状態で加算を取ってしまうこともあります。
だからこそ、情報を適宜キャッチアップし続けてください。適法に受け取ることと、制度を学び続けること。この二つが、長く安定して報酬を得ていくための土台です。
【次に読む】
