複数サービスを運営する場合のDBS実務|多機能型・同一事業者内の重複確認の取扱いを整理
はじめに
学童+放課後等デイサービス、塾+スポーツクラブ、児発+放デイの多機能型運営など、同一事業者が複数のサービスを運営するケースは珍しくありません。この場合、犯罪事実確認は「サービスごとに1回ずつ必要か」「1回の確認で両方をカバーできるか」という疑問が実務上頻出します。
ガイドラインにおける、この「重複取扱い」について整理を示します。
「教員等」と「教育保育等従事者」の定義の違い
まず前提として、DBS法は確認対象を2種類に区分しています。
📋 2種類の確認対象(ガイドラインⅢ-2・Ⅲ-4)
【教員等(法第2条第4項)】
学校設置者(公立・私立学校等)が雇用する教員・職員等。学校教育法第1条に規定する学校での業務に従事する者。
【教育保育等従事者(法第2条第6項)】
民間教育保育等事業者(学習塾・スポーツクラブ・保育所・障害児通所支援事業所等)が雇用・委託する者で、こどもと接する業務に継続的に従事する者。
同一事業者内で両方に該当する場合─ガイドラインの整理
なお、ガイドラインが示す「教員等」と「教育保育等従事者」の重複は、学校法人が塾や学童等を直営している場合に制度上起こり得るものです。
ただし、実務では学校法人と塾は別法人で運営されるのが一般的であり、同一法人内で従業員が両方の区分に該当するケースは極めて稀です。
ただし、万が一、同一人物が「教員等」と「教育保育等従事者」の両方に該当する場合はどのように対応を整理すればいいのでしょうか。
📋 ガイドラインが示す重複取扱いの基本的な考え方
- 同一人物が「教員等」と「教育保育等従事者」の両方に該当する場合でも、確認自体は1回で足りる(二重確認は不要)
- ただし、確認の名目(どちらのサービスとして確認したか)を記録上明確にしておくことをお勧めする
- 同一の学校法人内で小・中・高・大学を運営している場合でも、 DBS確認は「学校ごとにやり直す」必要はありません。 A中学校で確認済みの教員がA高校へ異動した場合、 確認の効力はそのまま継続し、記録上「A高校の従事者として確認済み」 と整理すれば足りる。
- 塾の場合、ブランド(小学生向け・中学生向けなど)が異なっていても、 同一法人が運営する同一の「民間教育保育等事業者」として認可を取得すれば、犯罪事実確認は1回で足りる。ブランド毎に、事業を別として認可を取得した場合は、ブランド毎に犯罪事実確認が必要。
障害児通所支援事業所の多機能型運営での具体的な対応
児発+放デイの多機能型事業所(同一事業者)の場合、両サービスに従事する職員は「教育保育等従事者」として1回の確認でカバーできます。
⚠️ 多機能型運営で特に注意すべき点
- 「確認は1回」でも、サービス追加時には変更届の提出が必要
- パート・非常勤職員が複数のサービスを兼務している場合、どのサービスの従事者として確認を行ったかを記録に明記する。
- 外部委託の専門職(PT・OT・ST等)が複数のサービスに関わる場合、業務委託契約書に犯罪事実確認への協力条項を明記しておく
参考記事:兼業・副業講師のDBS確認は自社で必須!他所流用のリスクと契約条項(東京都府中市)
📝 行政書士の視点
複数サービスを展開する事業者にとって、確認手続きの煩雑さは実務上の大きな負担です。ガイドラインは「1回の確認で足りる」と整理していますが、申請・届出・記録管理は事業ごとに管理が必要という状況は変わりません。 できたばかりの制度として、こうした煩雑さが徐々に整理・簡素化されていくことを期待しています。
一方で、簡略化によって確認の実効性が下がることは子どもの安全に直結するため、どこまで簡略化できるかは慎重に検討される必要があります。事業者として今できることは、記録管理を丁寧に行い、制度の趣旨に誠実に向き合うことだと思っています。
