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夜間支援等体制加算をどう取るか― 24時間365日の、体制設計

はじめに

グループホームは、人の暮らしを預かる場です。暮らしには、夜があります。夜間や深夜に何かが起きたとき、誰が、どう対応するのか――その体制を評価するのが、夜間支援等体制加算です。ただ、この加算は「取ろうと思えば取れる」ものではありません。夜の支援を担う人がいて、その体制が整って、はじめて算定できるものです。加算の話であると同時に、これは人の話でもあります。このページでは、加算のしくみと、その裏側にある体制づくり・人の確保までをお伝えします。

夜間支援等体制加算とは

人員基準の記事でお伝えしたとおり、介護サービス包括型・外部サービス利用型のグループホームでは、夜間支援を行う人の配置は義務ではなく任意です。配置して体制を整えた場合に、夜間支援等体制加算として評価されます。夜間・深夜の連絡体制や支援の体制を確保していることへの評価、という位置づけです。

なお、この加算の対象は介護サービス包括型・外部サービス利用型です。日中サービス支援型は、24時間の職員配置が義務づけられているため、この加算ではなく夜勤職員加配加算で評価されるという違いがあります(類型による違いは、3類型の記事もあわせてご覧ください)。

何が評価され、どのくらいの加算になるのか

この加算は、夜間・深夜帯にどのような支援体制を確保しているかに応じて、いくつかの区分に分かれます。代表的なものを挙げます。

  • Ⅰ(夜勤):夜間も起きて支援にあたる体制。最も手厚く、単位も高い。
  • Ⅱ(宿直):仮眠をとりながら緊急時に対応する体制。
  • Ⅲ以降:常時の連絡体制の確保など、Ⅰ・Ⅱとは別のかたちで夜間の安全を担保する体制を評価する区分(Ⅲは10単位/日ほか)

Ⅰ・Ⅱの単位数は、夜間支援の対象となる利用者数によって変わり、人数が少ないホームほど1人あたりは手厚くなります。区分はⅠからⅥまであり、単位の幅も大きいため、自分の事業所がどの区分に該当するかは、利用者数と体制から個別に見ていく必要があります。単位数や要件は、改定や対象人数によって変わりますので、正確な単位は最新の告示と指定権者の情報を必ず確認してください。

夜勤か、宿直か ― 「選ぶ」より「体制が伴って取れる」

先ほど見たとおり、夜間支援等体制加算は、夜間支援従事者の勤務のかたちによって、夜勤(Ⅰ)と宿直(Ⅱ)に分かれます。ここで大切なのは、これは「どちらが得か」で自由に選べるものではない、ということです。夜勤を算定するには夜勤の体制が、宿直を算定するには宿直の体制が、実際に整っていなければなりません。体制の厚みが伴って、はじめて取れ、どこまでの体制が必要かは、受け入れている方の状態像によっても変わります。手厚い支援が必要な方が多ければ、求められる夜間の体制も厚くなる。利用者像と、組める体制と、算定できる加算の三つのバランスを見ながら決めていくものだと考えてください。

算定の要件 ― おさえておきたい点

夜間支援等体制加算には、いくつかの共通する要件があります。代表的なものを挙げます。

  • 午後10時から午前5時までを最低限含む時間帯を通じて、必要な支援(就寝準備の確認、寝返りや排せつの介助、緊急時の対応など)を行うこと
  • その夜間支援の内容を、個別支援計画に位置づけたうえで行うこと
  • 複数の共同生活住居の支援を行う場合は、一晩に1回以上、各住居を巡回すること
  • 算定区分は、夜間支援の対象となる利用者数によって変わること(人数が少ないほど、1人あたりは手厚くなる)

実務では、夕方から翌朝まで勤務する世話人などが、夜間支援を兼ねるケースが多いですが、専任の夜勤者を別に雇う必要はありません。

細部と数字は、最新の情報をもとに確認を

加算にはⅠからⅥまでの区分があり、単位数や要件は報酬改定で見直されます。夜間の休憩時間をどこまで認めるか(たとえば2時間はよいが3時間は認めない、など)といった運用の細かいルールも改定によって常に変化する可能性があります。算定を始めるにあたっては、原則として変更日の前月15日までに指定権者への届出が必要です。実際の算定にあたっては、最新の告示と、開設地域の指定権者に必ず確認してください。

最大の論点ー夜間の人を、どう確保し、利用者をどう支えるか

夜間支援の体制づくりで、いちばんの難所は、その担い手をどう確保するかです。夜勤・宿直は、日中の勤務とは違う負担があります。当然、人件費も手厚くなります。

そして忘れてはならないのは、夜間の勤務が、働く人の心身に大きな負担をかけるということです。夜勤を担える人材は、ほかの事業所も欲しがる、取り合いになる人材でもあります。だからこそ、ただ募集をかけるだけでなく、働く人の負担にどう配慮しつつ、利用者をどうケアするか、そして何を掲げれば働く人に定着してもらえるかを、あらかじめ考えておく必要があります。夜間の体制は、加算の要件を満たして終わりではなく、その体制を担う人が働き続けられて、はじめて回り続けます。人材の確保と定着については、体制づくりの記事でも詳しくお伝えしています。

加算を取るとことの意味

最後に、いちばん大切なことをお伝えします。夜間の体制を組むとき、「加算が欲しいから体制を作る」のではなく、「利用者に必要だから体制を作り、結果として加算がつく」――この順序を、逆にしないことをお勧めします。

行き着く先は同じに見えるかもしれません。けれど、加算ありきで始めると、要件を形式的に満たすことに気を取られ、実態が伴わなくなりがちです。夜間に本当に必要な支援は何かを、利用者を起点に考える。そこから体制を組めば、支援の実態は自然と伴います。運営指導は、まさにこの「実態が伴っているか」を見ます。利用者起点で組まれた体制は、指摘を恐れる必要がありません。順序を正しく保つことが、コンプライアンスの観点からも、いちばん確実な道だと考えます。

東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解

夜間の支援というと、夜勤の担当者だけの話に見えるかもしれません。けれど実際には、夜中に急な事態が起きれば、管理者にも、経営者にも、連絡がいくことがあります。
夜の体制は、現場の一人に背負わせて済むものではないのです。だからこそ大切なのは、管理者・経営者・夜間の担当者が連携し、誰か一人に負荷が極端に偏らないようにすることを常に考える必要があります。
この課題は、利用者を支えるというきれい事では過ごせません。心身をすり減らした誰かの我慢の上に成り立つ体制は、長くは続きません。人が倒れれば、支援も途切れ、そこで暮らす利用者の毎日にも影響します。関わる一人ひとりが無理なく続けられる仕組みをつくることが、人(利用者・従業員)にとっても、事業にとっても、いちばん長続きする道だと考えています。


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