サテライト型住居と自立生活援助|GHの「出口」を設計する

はじめに

グループホームは、終の住処なのでしょうか。ずっと暮らし続ける場所、と考えられがちですが、私はそうは思いません。また、障害福祉制度においても終の住処として捉えていません。
制度では、グループホームで暮らしながら力を蓄え、いつか自分の部屋で暮らしてみたいと願う方のために、「出口」への道筋が用意されているからです。
サテライト型住居、自立生活支援加算、そして自立生活援助、これらは、グループホームを通過点として、その先の一人暮らしへとつなぐ仕組みです。共同生活援助シリーズの最終回となるこのページでは、グループホームの「出口」を設計するという視点をお伝えします。

利用者の4割が、いつか自分の暮らしを望んでいる

意外に思われるかもしれませんが、グループホームで暮らす方の多くが、将来の自立を望んでいます。令和3年度に厚労省が実施した全国調査では、「将来、一人暮らしやパートナーとの暮らしをしてみたい」と答えた方が、4割にのぼりました。とくに若い世代ほどその割合は高く、10代・20代では過半数を超えています。

厚労省:グループホームの運営及び支援内容等の実態把握のための調査

合同会社PwCコンサルティング:グループホームの運営及び支援内容等の実態把握のための調査

「グループホームに入ったら、そこがゴール」ではなく、「グループホームを一つの出発点として、次の暮らしを思い描いている」方が多数いるということです。その願いに、「私たちはどう応えていくのか」が、この最終回のテーマです。

希望と現実のあいだにある、隔たり

この調査では、職員の見立てとして「一人暮らし等がすぐに、あるいは一定期間の支援があれば可能」とされた方は、あわせて2割ほどでした。希望する方が約45%いる一方で、実現の見通しが立つ方は2割程度。この隔たりは小さくありません。そして、一人暮らしに向けた支援を実施している事業所は、全体の1割強にとどまります。だからこそ、出口を支える仕組みを知り、使っていくことに、意味があります。

一人暮らし等をする上での課題のTOP3(複数回答)pwc調査p.70

  1. 契約・行政手続きのスキル:66.7%
  2. 食事の確保や家事などの生活スキル:66.0%
  3. 継続的な見守りや相談の支援:65.1%

サテライト型住居 ― グループホームの中で、一人暮らしに近づく

出口へ向かう、最初の一歩となりうるのがサテライト型住居です。これは、本体となる住居から離れた場所にある、より一人暮らしに近い形の住まいです。共同生活住居のように複数人で共有スペースをともにするのではなく、アパートの一室などで、単身に近い生活を送りながら、必要な支援は本体住居から受けられます。

将来的に一人暮らしを目指す方が対象で、次のような要件があります。

  • 本体住居との距離は、おおむね20分以内で移動できる範囲にあること
  • 一つの本体住居につき、設けられるサテライト型住居は2か所まで
  • 利用は原則3年以内(本体住居への移行や、一人暮らしへの移行を見据えた期間)
  • 設備基準の一部が、本体住居より緩和されている

運営面では、サテライト型住居を設けるにあたって、新たな指定を受け直すのではなく、変更届で対応するのが基本です(開所後、原則10日以内の届出)。数値や要件は自治体によって変わりますので、実際に設ける際は、最新の告示と指定権者に確認してください。

一人暮らしへの移行を支える ― 自立生活支援加算

グループホームにいながら、一人暮らしへの移行に向けた専門的な支援を行った場合、それを評価するのが自立生活支援加算です。移行に向けた住居の届出や、サービス管理責任者・有資格者の配置などの要件のもとで算定します。

支援の中身は、一人暮らしに必要な力を、具体的に育てていくものです。たとえば、家事や健康管理といった生活のスキル、予算を立て貯蓄をするといった金銭管理、近隣とのコミュニケーションやトラブルへの対処、そして退去後の住まい探しや福祉サービスの相談などです。暮らしを丸ごと支えながら、少しずつ自立の足場を築いていきます。

ただ、このサポートは調査にも示されていた一人暮らしをする上での課題に直結したものが多く、それを支援したことに報酬として評価を与えるものです。

グループホームを出た後を支える ― 自立生活援助

そして、グループホームを実際に退去して一人暮らしを始めた後を支えるのが、自立生活援助という別のサービスです。定期的な巡回訪問や、必要なときの随時対応によって、単身生活が立ち行くように支えます。

大切なのは、自立生活援助はグループホームとは独立した別のサービスということです。グループホームの世話人などが兼ねる形では算定できず、専門の体制で行うことが求められます。また、グループホームの利用者だった方が一人暮らしを始めたその日から、いきなり一人きりになるのではなく、グループホームを卒業したさらにその先まで、支えの手が用意されていることを制度として表しています。そう考えると、一人暮らしへの移行は、決して無謀な飛躍ではないと分かります。

出口を設計することは、囲い込みの対極にある

ここまで見てきた仕組みは、いずれも一つの思想でつながっています。それは、グループホームを「囲い込む場所」にしない選択肢もあるということです。

空室を埋めたいから、ケアが楽な障害を持つ方にずっといてもらう―それは、報酬や実費の回でお伝えしてきた「抱え込み」と、施設のエゴでしかありません。そうではなく、「その方が望む生き方に寄り添い、次のステップへと送り出す。その準備を、グループホームにいるあいだに一緒に進めていく」、これは、障害を持つ方の人生の選択肢を狭めず、その方の想いが詰まった人生を支援・実現する立派な営みだと、私は考えます。

東京都府中市・4-LeafClover行政書士事務所の見解

最後にお伝えしたいのは、支え続けることだけが、支援のゴールではない、ということです。
もちろん、利用者が望み、そこが安心できる住まいであるなら、ずっとグループホームで暮らすことも、尊い選択です。しかし、中には「いつか自分の部屋で暮らしてみたい」と願う方もいます。その願いに蓋をしない事、叶えられるようそっと背中を押せること、制度が住まいを支えるだけでなく、その先の自立にも目を向けているのは、そのためだと私は思っています。
障害のある方を、いつまでも支えられる弱い立場としてだけ見るのではなく、望むなら次の一歩へ進んでいける人として、その可能性に光を当てるような社会であってほしいと願っています。
グループホームは、時に終の住まいであり、時に次の暮らしへの通過点でもある。その両方を、利用者の人生に寄り添いながら選んでいける場所であってほしい、それが、子どもと地球にやさしい未来へと、つながっていくと私は信じています。


次に読む

< ブログ >

Blog

PAGE TOP